花が咲く頃にいた君と
「すまん、東向日、お前も見てたんだろ」

教員は気まずそうに頭をかいた。


「彼女達が話さない以上、僕からは話せません」


東向日はハッキリと言いきって、また前を向き直った。


教員も名前のことがあるせいか、それ以上突っ込めずにいた。




結局、放課後になっても、口を割らなかったあたし達は、反省文だけで済んだ。



あたしは東向日と向かい合わせに座って、生徒指導室を2人で貸しきった。



「反省なんかしてんのに書けん」


あたしは広い机に突っ伏した。

目の前の東向日は、鉛筆をかりかり動かしていた。


「あたし悪くない」

「本当に?」


前髪から覗く瞳。

あたしに真っ直ぐ向けられていた。



「悪くないもん」


呟いて俯いた。


白紙の原稿用紙


傍に置かれた鉛筆、指先で転がした。



「そうだね」


東向日の綺麗な手が、鉛筆を弄ぶあたしの手を握って


ドキンと胸が音を立てる。



「ほら、冬城さんはちゃんと悪いと思ってる」



咎められていると思った眼差し。


恐る恐る見上げた。


けど東向日の瞳は、いつも以上に優しくて

やっぱりあたしを素直にさせた。



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