花が咲く頃にいた君と
横峯の背中を、じっと見つめているのもしゃくなので、


ボーッと横峯の背中を視界の端に捉えながら、前のカーテンを見つめた。



「東向日は辞めとけ」



ドクン!


不意に出された名前に、変に心臓が跳ね上がる。


「東向日は絶対、お前を好きになったりしない。

お前に優しいのは、目的のためだ」


“本当のあいつは恐ろしいよ…”



ボソッと呟かれた続き。


聞き取れないほどの小さなもの、地獄耳のあたしは聞き取ってしまった。




横峯の背中を見つめ、彼の心意を探る。




微かに信じられるのは…



“本当のあいつは恐ろしいよ…”



震えた声、恐る様に吐き出された言葉。





脳内で優しく微笑む東向日が、ちらついた。



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