花が咲く頃にいた君と
「目的の為だって、あたしを必要としてくれるなら…」


“なんだっていいよ”



視線が泳いだ。

腹元のカッターシャツを、シワになるくらい握った。



続けようとした言葉

胸の痛さに、喉の手前で詰まった。



「俺等だってお前を必要としてる。

“冬城結女”を必要としてる」

「ちがっ!」


“違う!あんたらがあたしを必要となんてしてない!”


そう捲し立てるつもりだった。


なのに、振り返った横峯の瞳


あまりに真剣で、心が震えた。



「“冬城結女”騙されんな。“優しさ”だけがすべてじゃない」



東向日の柔らかい笑顔


あたしに対する揺るぎ無い優しさ




今日まで見てきた全ての“東向日”に、不安を覚えた。




本当は最初から不安だらけ。



“君が必要だ”


なのにその一言と

あまりの居心地の良さに、不安が中和されていた。



けど、他人に揺さぶりをかけられると、中身のないぐらぐらの安定は、突如不安で覆われる。




東向日はあたしを必要としているから、優しいだけ?


何であたしが必要なの?


その言葉、根拠はどこにあるの?


何で?


何で?



沢山の“何で?”があたしをいっぱいにした。



そしてその全ての“何で?”に、痛みが伴った。


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