花が咲く頃にいた君と
「そんな顔すんな」


視界の隅、伸びてくる手が微かに映って、頬に触れた。


壊れ物を扱うように、優しく頬を撫でる手。




あたしはいったいどんな顔をしているんだろう。



「お前、あの根倉が男として好きなんだろ?」



瞬間、ボッと顔が熱くなって、口をパクパクさせた。



意味のわからない、動揺。


多分、不意打ちなその言葉に喚くことさえできない。


「何だ、セックスでもしたいか?あぁ?」

「変態エロ野郎!んなわけねぇだろ!!お前等と一緒にすなっ!ただ一緒に居たいって…」


“ただ一緒に居たいって思ってるだけ”



勢い任せに吐き出した言葉、思わず両手で口を抑えた。



今なら確実に、死ねる。



目の前の男、それはもう究極に嫌味な笑みを浮かべていらっしゃる。


それに比例して、あたしの羞恥レベルが跳ね上がる。



何これ!羞恥プレイ!?



「認めてしまえ。それはライクじゃねぇ。LOVEだ。正真正銘の恋だ」



まさか目の前の変態野郎に、太鼓判を押されるとは思わなかった。



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