≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
やっぱり こういう展開か・・・


「そうなんだ・・・倒れた時ケガしたとか?」


オレは 自分がなんと『安直』な人間なのかと

この後つくづく思い知る


「いいえ・・・ケガはなかったんですけど・・

『脳腫瘍』でした」


絶句!!


「でも 良性だったので 

手術で腫瘍を全部取ることが出来て

この通り 今はピンピンしています」


「そうなんだ・・・大変だったんだね・・・」



「はい・・・病気は良くなったんですけど

手術の後 指の反応が遅くって・・・

普通にピアノを弾く程度だったら そんなに問題はないんですけど

コンクールで弾いたような あんな動きは

とてもじゃないけど 出来なくなってて

当時は かなり落ち込みました」 


「ご両親も心配したでしょ」


「はい・・・しばらくは泣いてばかりの生活でしたから

両親も 精神的に辛かったと思います」


「そうだよね・・・やりきれないよなぁ 才能あるのに」


「手術が終わって ずっと・・家にいました

引きこもっていたけど でも・・

そろそろ 私も『歩き出さなきゃ』って

思えるようになったんです

身体は元気なんですから いつまでも

親に甘えてはいられませんからね」


「それで アスカちゃんの職場で働き出したワケなんだ」


「はい 短大を卒業して 働くのなんて

初めてだったんで 初めはかなり戸惑いましたけど

新しい事を始めてみて かえって気が紛れてます」

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