≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
恐らく リンコも お見舞いには行ったが

坂本には 会えないでいるのだろう

リンコは チラッと オレの方を見た


少し離れていたので リンコは最初はそのまま

体育館に向かって歩いていたが

だんだん ゆっくりめに歩くようになり

オレが次第に追いついてきた


すると リンコが オレの方に近づいてきた


「剛のお見舞い行った?」

リンコは 他のやつには あまり聞こえない声で

オレに 話しかけた


「うん・・・行ったけど 会ってくれなかった」


その 言葉に安心したのか


「そっか 奥村くんでも そうなんだ…


私にだけ 会いたくないのかと 思って 悩んでたんだ」


リンコがそう言うと 2人の会話は 一旦途切れた


「実はね・・・」


沈黙を破ったのは リンコだ


「剛・・・お兄さんいたみたいなんだ・・・」


オレは その事を リンコより先に知ってはいたが 知らないふりをした


「へえ~… そうだったんだ・・・」


「うん」


リンコは 再び黙った


他の生徒に聞こえないように ゆっくり歩いていたため

オレとリンコは いつの間にか 集団の最後尾を歩いていた


しかし・・・


坂本が入院しているのに リンコはどうやって 坂本の兄の存在を知ったのだろう


「今日ね お通夜 なんだって・・・」


「えっ… 亡くなったの?・・・坂本のお兄さん!」
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