≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
樹花の居る病院へ着いた

オレはいつものように エレベーターに乗り込み『5F』を押した

最近は 眠っている事の多い樹花を思い出しながら

5Fに到着し 開いたエレベーターを降りた

すると 

すぐ正面に 廊下で病院の先生と立ち話をする

樹花のお母さんが見えた


どうやら

樹花のお母さんは

泣いている・・・


『まさか!?』


オレは そこが病院だということも忘れ

廊下を走った


覚悟はしていた

樹花の病気を知ったあの日から

いつかは 樹花の黒い髪を撫でられなくなる日を

いつかは 樹花の白い手で 頬に手を当ててもらえなくなる日を

いつかは 樹花の笑顔が オレの前から消えてしまう日を


・・・だけど

涙が どんどん 洪水のように押し出されてくる・・・


『きっと これはまだ・・・

修行が足りないんだ・・・


オレは 感情がブレない訓練をしているんだ・・・


これは 『試されて』いるんだ・・・』



オレは 泣きながら走った

だがオレは 自分の『無力』さに泣いているわけではなかった


ただ・・・ただ・・・


1日でも長く


『樹花と居たい・・・』


ただそれだけだった



「おばさんっ!!」


オレは ハンカチを口元に当て泣いている

樹花の母親を呼んだ
< 287 / 307 >

この作品をシェア

pagetop