≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
日村 令子のことだから もっと なんか

『かっこよく』キメてくれるんだと ちょっと期待していた


当の日村 令子は 使い終わった半紙と護摩木を

さっとまとめ ビニール袋に入れ持ち帰る準備をしていた

残った 塩と米 そして酒は 地面にまかれた

勿論 ワンカップの入れ物も 日村 令子のビニール袋の中に納められた


それから 日村 令子は手に一握りの 塩 を残していたらしく

オレの両肩に 塩をかけた

その後 自分の両肩にも 自分で塩をかけていた


「あの…先生…」


「なに?」

日村 令子は 普通に返事した


「あの… 今のって… 昨日オレが 出くわした霊の『お祓い』


ですよね…」


日村 令子は また… 笑った

「お祓い? 

いいえ 『浄霊』(じょうれい)よ」



霊を退治するのに『お祓い』でも『浄霊』でも『同じだろ!』と

その時のオレは 思っていた しかし…これが大きな間違いだった


「『祓う』だけでは 誰も『救われない』わ

また あなたたちのような人を いつかまた 作るだけ…

そして ここに居た霊も ずっと 苦しみ続けるまま…

『成仏』できないというのはね 『霊』にとって

とても『苦しい』事なのよ

あなたになら 分かるんじゃないかしら…

だれにも『理解されずに』過ごす日々の辛さというモノが

どれだけ 苦しいものか

しかも それは 無期限…

『肉体』はいつかは無くなる これは『有限』

でも 魂は 死に際に『成仏』への道を行かなければ

自力では ほとんど その後『成仏』することは出来ないの

まして この世に 未練がある人は 尚更…

魂だけになってからは 『時』の感覚も分からなくなり

『未練』の『対象物』でさえ この世を離れる



< 61 / 307 >

この作品をシェア

pagetop