≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
一瞬にして オレは 全身に鳥肌が立った気がした


「人を殺した・・・?!オレの先祖が?」



『いや 待て 殺さなくて きっと きっと

単に うまく 隠れて 逃げ延びただけなんだ

…うん きっと そうだ!

オレも オレの父さんも 『逃げ足』だけは

早いのが 取り柄だ』


「信じられない?

正義感が強く 善人の貴方に

『人殺し』の血が流れているなんて…

信じたくないかしら!?」


「で でも… 昔は… 昔はそういう時代

だから… たとえ『そう』だったとしても

…仕方ない・・・っていうか・・・」


「自分が助かるために 人を斬り捨てるのも

見捨てるのも 仕方がない?」


オレは それ以上言葉が出なかった…


もしそれが オレの先祖のしてきた事が本当に『そう』なら

…というより 今生きている 人間のほとんどに

それが当てはまるのだとしたら…

新しい『命』のために…

今存在する すべての『命』のために…


どんなに時代が変わっても

『自分が助かるため』

ということを 責めきれる人間はいるだろうか

またそれを『罪』といえるだろうか


「子孫を残して 死んで行く人はいいわ・・・

魂を慰めてくれるために お葬式をしてくれ

お墓を建ててくれ 回忌ごとに 供養もしてくれる

このことは 肉体を亡くした『魂』にとって

なによりも 『やすらげる』事なの

でもね

子孫を残せず 死んで行った人たちは

せいぜい お葬式は知り合いがしてくれたとしても

その後 供養してくれる人なんていないわ

仮に お墓があったとしても 『無縁仏』といって

誰も来てくれない お墓になる事もあるのよ」
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