雪に消えたクリスマス
・第七話 二年という月日…
「あれは、いったいどういう事なんだ?」 
 白い吐息、煌めくイルミネーション、家路を急ぐ人々の中を、俺とウララは並んで歩いていた。
 ウララはずっと黙ったまま、俯いている。
 俺は、そんなウララの横顔を見ながら、小さくため息をついて、さっき体験した事柄を思い出してみる。
 鏡に映したかのような、俺の兄弟に会った時の事を…。

 俺の隣りの席に、ウララがいた。
「いちおう、初めまして。創真君…でいいかな?僕は春日部 玲…君よりも三つ上になる、君のたった一人の兄弟です」
 俺の正面には、もう一人、俺がいた…。
「…みたいだな。会うのは今日が初めてだが、名前だけは知っている…」
 そう、俺はそいつの事を知っていた。
 今まで一度も会った事はなかったが、話には聞いた事がある、俺のこの世でたった一人の肉親…それが春日部 玲。
「…はい。僕も創真君に会えて嬉しいですよ。一生、会う事もない兄弟だと思っていましたから…」
 玲は、ニッコリと微笑んで、まるっきり愛想のいいお兄さんをやっている。
「俺も、自分の兄弟に会うなんて、夢にも思ってなかったよ…」
 俺は、少々戸惑いながらだったが、かろうじて、玲との会話を成立させていた。
 しかし、俺の頭の中では、葉子の手紙の内容や、ウララの不可解な行動が、うねる蛇のように黒く渦巻いている。
 俺には、この二人の関係が計り知れなかった。
 明らかに、今日初めて会った関係ではないだろう…。
 だが、だからといって、葉子の手紙の内容のような、二人が恋人同士とか、付き合っている…というようにも見えない。
 第一、ウララは年上の男性を嫌っている…幼い頃、年上の男性から虐待を受けた事があるウララは、それ以来年上の男性というモノに異常な恐怖心があると、ウララ自身が語っていた。
 
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