あなたじゃなきゃ






元気を装うのは得意だった



両親が亡くなったときも平気なふりをして



中学校に入って新しい友達ができても、両親がいないなんて言わなかった




それでも多分周りは小学校から一緒だった友達から聞いてなんとなく知っていたんだろう



それに関する話すらでてこなかったと思う



私にしたら要らぬ気遣いだ


余計虚しくなるだけ




嘘。嬉しかった




そんな優しさがありがたかった



でも高校では、私の大切な友達が私なんかに気遣いをしなくて済むよう私立を選んだのだ





知られたくない過去を隠しているだけ




柚希と裕亮には言ったけど



それ以外の人に言うつもりはない



多分、それが当たり前になっているの







終業式が終わって成績表をもらって帰宅するところで


偶然裕亮と会った



「あ」


「…よ」


「なんか顔合わせるの久しぶりだね(笑)」


強がり…


ばれてないよね


「そうだな

……」


沈黙…


「…じゃ、じゃあ」


「待ってよ!


あたしも一緒に帰る」


気づかないふりされた?


2人とも鞄もってるのにどこに一緒に帰らない理由があるの?




本当に…裕亮の気持ちがわかんないよ





「き…昨日は悪かった」


「ん?…うん」



「夏休みもさ…」

「あたし夏休み忙しいから1日も遊べないかも!ごめんね」




言われるのが嫌だったから、先に言った



部活がない日全部とある日幾日かと土日に入れた


から時間がないのは本当



「あ…そうか…わかった」



「裕亮は最近どうなの」



「え?」





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