色えんぴつ

吐き出した液体は、透明に近い白で、つん、と鼻につく匂いがした。


なんで胃液だけ?


吐けたことへの安堵感と、吐いたことへの罪悪感を感じながら思う。






嗚呼、そうか。

茫然と嘔吐物を眺めながら、だらしなく筋肉の乏しい脚を床にべったりと付け、声を漏らす。






「今日、わたし、あの男の精液しか口にしてないわ」

悲しい笑いが漏れる。
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