セピア
が、しかし二人の若者のカップルの顔は穏やかそのもので実に楽しそうである。花梨は目を凝(こ)らして二人を良く見てみた。
だが目を擦(こす)ってみても確かに花梨の目に映る二人のカップルの一方の男の人の方は依然として体が透(す)けたままなのである。
「ねえ李さんあれって……あの男の人の体って確かに透(す)けてますよね?!もしかしなくっても幽霊ですか?」
と花梨は素早く李の腕を掴(つか)んで半(なか)ば後ずさりしながら恐る恐る聞いた。
「あっあれはね。花梨ちゃん何も恐がる事はないのよ。この花梨ちゃんが今いる世界はね。こっちに来た人がそうやって見えるだけなの。つまりはね、他の人達から見たら花梨ちゃんの体もあんな風に透(す)けて見えるの。それはね、こっちにいる人達が主流で現世から来ている人とこちら側にいる人とをすぐに見分けるためなの。でも例外もあるわ。ほらあの人をご覧なさいな。あの人は全体的には透(す)けてないわよね。でもあの人の耳ってどう見える?」
だが目を擦(こす)ってみても確かに花梨の目に映る二人のカップルの一方の男の人の方は依然として体が透(す)けたままなのである。
「ねえ李さんあれって……あの男の人の体って確かに透(す)けてますよね?!もしかしなくっても幽霊ですか?」
と花梨は素早く李の腕を掴(つか)んで半(なか)ば後ずさりしながら恐る恐る聞いた。
「あっあれはね。花梨ちゃん何も恐がる事はないのよ。この花梨ちゃんが今いる世界はね。こっちに来た人がそうやって見えるだけなの。つまりはね、他の人達から見たら花梨ちゃんの体もあんな風に透(す)けて見えるの。それはね、こっちにいる人達が主流で現世から来ている人とこちら側にいる人とをすぐに見分けるためなの。でも例外もあるわ。ほらあの人をご覧なさいな。あの人は全体的には透(す)けてないわよね。でもあの人の耳ってどう見える?」