セピア
 でもこの世界は身体的欠陥を自由に選べてしかも自分の好みの時代を選ぶ事も出来、そして此処に留まる事も可能なのだと言う。
でもって此処へ来た人達の運命はそれぞれの意思に委(ゆだ)ねられていると言う。

 李のそんな話を聞いて花梨は急に背筋がゾクっとするような感覚を覚えた。
『では今の私の立場はいったい?』と花梨は今更ながらに言い知れない大きな不安感に襲われた。

 するとその花梨の不安を素早く察知したかのように李が口を開いた。

「花梨ちゃん私さっきも言ったと思うけれど人間にはその人を守るために何人かの守護霊って言うのが憑(つ)いているの。私は花梨ちゃんに憑(つ)いているその守護霊の一人なわけ。でもって今回花梨ちゃんが交通事故に遭(あ)ったって事自体はなんて事のない怪我だったのね。でも今回、花梨ちゃんはとっても心が病んでいたから、このまま元の世界にすんなりと還(かえ)す訳にはいかなかったの。
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