セピア

　だから花梨ちゃんにはこの世界での治療が必要だと思ったから、私自（みずか）ら敢（あ）えてこう言う形を取らせて頂いたの。花梨ちゃんには却（かえ）って迷惑だったかしら？」
　と李にそう言われて

　その時花梨は少し戸惑いを覚えた。
｢いいえ。むしろ私はいつも李さんに一度会ってこんな風にお話をしたいと思っていました｣
　と花梨は言った。

　花梨にとって自分の大好きな曾おじいちゃんが嘗（かつ）て若かりし日に愛した人、そして自分の母親のお母さんを知る事が出来た事はとっても嬉しかった。だけど今置かれているこの状況の不思議さ。自分と違う立場でこの世界に存在している他の人々を目の当たりにすると花梨の心と頭の中は益々こんがらかってくるのだ。

　そして李さんのこうした一連の説明だけでは到底理解出来ない感覚が、花梨の心の中に絶え間なく押し寄せる……。
ではいったいこうした人達はどう言う経路を辿って此処へ来る事が出来ると言うのだろうか？