セピア
それはね、私が孫であるあなたと啓太をただ守りたいと純粋に思ったからなの。でもね結構その資格試験ってのが曲者(くせもの)でね。難しかったりもするのよ。でも私必死で勉強をしたわ。誰かの為に尽くせるって事はある意味とっても素晴らしい事なのよ。それが私のように現世で叶えられなかった者にとっては尚更ね。ねえ、花梨ちゃんあなたはこう言う私の気持ちが理解出来ない?」
そう聞かれて
「そうですね。私は現世でちっとも『他の人の為に生きる』って事なんかまるで考えずに、ただ漠然と生きてきただけだったような気がします。それに両親や曾おじいちゃんの庇護(ひご)をあたりまえだと思ってのほほんと生きて来てしまったから、多分最近の私の心の深い部分で良い知れない空しさを覚えていたのだと思います」
じっと花梨の話を聞いている李の表情は一見して推(お)し測る事が出来ない位に哀しそうだった。訴えかけるようなその瞳(め)を見て花梨は李の心の内を瞬時に悟った。
そう聞かれて
「そうですね。私は現世でちっとも『他の人の為に生きる』って事なんかまるで考えずに、ただ漠然と生きてきただけだったような気がします。それに両親や曾おじいちゃんの庇護(ひご)をあたりまえだと思ってのほほんと生きて来てしまったから、多分最近の私の心の深い部分で良い知れない空しさを覚えていたのだと思います」
じっと花梨の話を聞いている李の表情は一見して推(お)し測る事が出来ない位に哀しそうだった。訴えかけるようなその瞳(め)を見て花梨は李の心の内を瞬時に悟った。