セピア
「さあ、急いでお家に帰りましょうか」
 と李は腕をそっと裏に回して花梨の肩にやさしく手を置くと二人はゆっくりと歩き始めた。

 遠くでカラスが鳴き始めた。そんな中もうすぐ李と出会ってからの1日目が暮れようとしていた。

 家に辿り着いてからも暫(しばら)く花梨は色々な疑問を李に質問をしていたので、その結果李に沢山の事を教わった。
それはどれもみな不思議な事ばかりだったけれど決して花梨にとっては不快な事ではなかった。むしろ大変に興味深いものばかりであった。聞けば聞くほどにそれは次第に花梨の心の中にグイグイと引き込まれてしまう類(たぐい)の説明だった。
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