待っていたの
「ああ…月妃に服をやるなんて、不遜すぎる。男が服をあげるのは、脱がすと宣言してるようなものだ」

ヘーッとついつい感心してしまった。


白夜が階を下りる、それに従い彩も下る。


それを見計らい、宰相達が彩に近づく。

「いやはや、早くお世継ぎを産んでくだされ」

「心配せずとも仲も良いからのぅ」

「もう受胎しておったりしての」

「そう急かすものでわないわ」

「陛下の大事になされようをみれば、遠からずじゃて」


「皆様のご期待に沿えるように、努力いたします」

すっと頭を下げて、そう話す。


「奥ゆかしいことだ」

「なんとまぁ…」


感嘆ともため息ともとれぬ息が漏れる。


「彩、こい」

そう陛下が呼ぶ、その声を辿り数歩後ろに止まる。


「はい、なんでしょう」

「この中から好きな物を選べ」

この金銀財宝、絵画、楽器の中から…好きな物を選ぶ?


「よろしいのですか?」

「ああ…」

彩が選ぶのは、執事が持ってきた、紙で折った花。



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