待っていたの
「はい」

そう言い注ぐ彩に、ベラベラ話すうるさい官吏。


もう高官や、いつも朝議に出ている面々ばかりなので、少しは気が楽だ。


前に呆れるほどつみあがる金銀財宝、その中には彩への簪や洋服も含まれる。

最後にずっと階の下で指示を出していた、曹宰相と栄達が言祝を申す。


「初夜の儀、お済みになりました事、ならびにご成婚おめでとう存じます。月妃様にいたしましては、この国ひいては世界に繁栄をもたらし、国母としてよくわきまえ導いていただけることをお願いいたします」

栄達の声だ、陛下が言葉を返せとこちらを見てくる。

「心得ました。しかし、わたくしも至らぬ身どうぞご指導のほど…よろしくお願いいたします」

当たり障りなく、答えを返す。


(しっかりしろか……)


曹宰相の言祝が終わると陛下が口を開く。


「彩への服は総て払い下げろ」

(なぜ?)

疑問がわくが特に何を言うわけでもなく、持って行かれるのを眺める。



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