待っていたの
「そう言えば黒麗さまは、白虎王様と玄武王様にお会いした事ありますか?」

「ん…?あるよ」

「どのようなお方ですか…?」

「虎王は、小さい。武王は……変人と言ったところだろう」

「私を犯すか鎖に繋ぐのはどちらですか?」

警戒しておくべきだ。


「ん〜……クスクス」

困ったように笑う黒麗の言葉を繋ぐ栄達。


「朱雀王だよ、前の月妃の時は一生後宮から、出さなかった。」

「え…?」

「ほぼ毎年といっていいほど子どもを産まされた、その子どもが成長し繁栄をもたらした」

「それが、前月妃の真実だよ」

最後に黒麗が付け加える。

「だから、私に子を産めとみんな言うのですね…」

納得したように話す彩は、想像もしていなかった真実を告げられ、混乱している。


「だから、僕の子…孕む?」

黒麗がクスクスとからかう様に口に出した言葉に、彩はため息をつき、笑った。

「だからの意味がわかりません。黒麗さま…別に陛下のお子は近々できますよ…、妊娠できなかったら私のお腹が悪いので、黒麗さまが頑張って陛下のお子を宿して下さいませ」

彩の言葉に喜んだ、白夜も…黒麗も栄達も護衛も、ピシッと固まる。


目も大きく見開かれている、口はあんぐりと開けっ放しだ。


流石に黒麗は扇で半分隠しているが、それでも隠しきれていない。


バサバサと音を立てて落ちる、書類を拾い上げ白夜の机に揃えて置く、その間動いたのは、彩だけで大人の男が揃って、彩の言葉に翻弄される。


しかも国の中核を担う、偉い人と言って差し支えない人達が揃ってだ。


「僕は…嫌だよ。白夜みたいな生意気なガキ抱くなんて」

「…は!馬鹿、お前が俺に抱かれるんだ、彩が言っていたろうが、陛下のお子ってな!」

ムキになるふたりに彩は涼しい顔で、服作りに没頭する。


こんな白夜を見たのも、黒麗を見たのも初めてだろうが、ふたりより彩には重要な事があるようだ。



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