待っていたの

本日も、朝議に出てから、掃除をして服を作る。


「あの、黒麗さまもう少し地味な布ありませんか、無地の……」

豪華な刺繍の施された、雅な布を用意してきた黒麗に、ひくつきそうになる口元を必死に抑える彩。


「それでも地味な方だよ」

(……人選ミスかもしれない)

「そうでしたか、布の素材も多様に用意できませんか?」

「異素材を混ぜるの?」

「はい」

(そういえば、見ない……)

「最初は、リボンとか細かい所からの方がいいかもしれないですね」

(保守が強すぎたら、売れないし、アクセもいいかも)


カリカリと筆を走らせるが、まだ慣れない羽根ペンで筆圧が強く、ペンダコのある彩は探り探り自分に合う、持ち方を練習しているので、デコボコな線だ。



.
< 160 / 243 >

この作品をシェア

pagetop