待っていたの
「あ、あなたは……」


「雀国の朱貴」

その短い言葉は、自己紹介で。


いや、そうじゃなかったんだけど。


「朱貴さん、ここは……?」

何となく朱貴が寂しそうに、空を見ていた気がして。朱国から離れるのは、寂しいだろうと、自分の思い付きを微かに悔やんだ。


「茶なら出せる」

そう言って朱貴は建物の中に入る、その腰には細身の剣が揺れていた。



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