待っていたの
学校に行きたがるのは、その証のごとく。


「初夜をもう迎えたと思っている、じじい共は形だけの儀式だと言っていたがな?」

揺さぶる為に投げつけた言葉。


「…王妃としての教育などはないのでしょうか?」

「お前は特別だから、特にはないと思うが…」

「はい、わかりました」

「駄々をこねるのは、やめたのか?」

「はい」


ここを出て暮らしていく自信がない。
知り合いもいないこの異世界で、そう判断したのだ。


(暮らしていける程の知識を付けたい)


「午後は町の様子を見たいので、遠出の許可をいただけますか?」

「帰って来れる範囲と護衛が付く条件なら、可能だろうが」

「できれば、先程の門番にお願いできるのなら、お願いしたいのですが?」

眉間に皺がより、腕を組み踏ん反り返って座っているソファーから、立っている彩の顔を覗く。


「毎日なら、無理だぞ。非番もあるからな。」

「はい、承知いたしました。では、これで失礼いたします」



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