待っていたの
「なにをしている?」

―…ガタ

椅子が音を立てて動く。

「あ、お帰りなさいませ。出迎えもせず、申し訳ありません」

立ち上がり謝り、陛下の部屋に行く彩。


略装を脱がせ、ハンガーにかけて、ラフな格好の服を出す。


ただし無表情で。


「なにをしていた?」

「この国の歴史書を読んでおりました。魔法もあるようですね?最初に移動したアレですね?」

「ああ……」

「学校のようなものがあれば、昼間はそこへ行きたいのですが、可能でしょうか?」

「国立がある、手続きをしよう」

「ありがとうございます」

そう話し白夜に背を向け、紅茶を入れ、スコーンとフルーツを出す。

メイドが毎日変えているお茶受け。


彩は全く気づいていなかったが。


「彩、婚姻の儀式は三ヶ月後に決まった」

「左様でございますか」

何も言って来ない彩に疑問を持つが、諦めてこの国に馴染むよう努力しているのだろうと思った白夜。



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