待っていたの

(ここはどこ、何県!?
私は誰……?)

「私は、法宮 彩です」

(よし…!名前は言える。
ほうぐう あや、記憶喪失ではないはず)


「そうか、俺は白夜だ」

―…びゃくや

後ろから聞こえた声に、肩を震わせ、振り返る。


そこには、濃紺の肩までのサラサラと風になびく髪の毛に、華奢な身体に綺麗な筋肉が付き、切れ長の瞳に緋色の瞳の男が彼女を見下ろしていた。


「うわ…美人…」

ついつい口に出した言葉に、ピクリと白夜の眉毛が上がる。


「ようこそ彩、龍国へ」

(え…どこのテーマパーク?美人さんも白シャツにジーンズだし、冗談?
撮影…?)


「龍国…?」

「この国の名だ。」

「はあ…」

「いつまで、地べたに座っているつもりだ?」

ハッと気づく、某激安店で購入したワンピース型のパジャマ姿なのだ。


ガクリとうなだれた、夢なら都合よくせめてジーンズとTシャツでいいから普通の格好がよかった。


それに草は少しだけ水分が含んであり、お尻が冷たい。



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