待っていたの
「時間だぞ」

先に栄達、そして陛下ついで彩の順で入っていく。


ただ彩は、扉の左に立ち絶対に動かない。


水を用意するメイドのひとりがこけて、水をこぼした。


「この奴隷、即刻首にしましょう!」

正装に少し水が跳ねたらしい。


――そんな…馬鹿な。


左側から動き、ハンカチを出して、何のこだわりもなく跪づき、この場の中では1番薄い青を拭く彩。


「ひひひ姫…!」

簡単に乾き、次は倒れたメイドを立ち上がらせる、ガラスが割れて飛び散っているので拾おうと屈んで大きなカケラを拾ったら、魔法で跡形もなく消え去った。

白夜だ、今にも泣きだしそうなメイドの代わりに、水を出していく。


陛下の場所にも、こだわりなく階を登り水を差し出す。


そうして、玉座をおりてメイドを連れて、出て行こうとする彩に声が掛かる。


「姫は朝議が仕事、はやく陛下の横に行きなよ、はじまらないよ。君の我が儘に付き合ってる暇はないけど?」

その小さな脳みそにも理解出来たらはやく座ってね?そんな声が聞こえた気がした。


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