待っていたの
日本語で、歌おう。


「なんに、しょっかな?」

出来るだけ明るく見えるように、明るいそして親しみ易いのがいいよね。


「あ、私に続いて歌ってね!」

かえるの歌が 聞こえてくるよ

ぐわっぐわっぐわっぐわっ
ゲロゲロゲロゲロぐわっぐわっぐわっ


これは輪唱できるしぴったりだ。
看守には、手拍子してもらえばいい。


(私やるぅ!)


次々に童謡を歌い、教える彩。
そして夜は暮れて、辺りが真っ暗になった事にも気づかないくらい掃除に熱中し、もちろんまだ床がざっと綺麗になっただけだが、満足げに眺める。


牢屋でも比較的刑罰の軽い人は朝から昼まで労働があるので、ちょうどいい。


明日もここに来よう、ここには偏見も差別もない、誰も頭をさげない。


姫じゃなくて嬢ちゃんと呼んでくれるのも、暖かい暖かい声だ。


ここが済んだら、どんどん他の所も綺麗にしたいな、せめて王都であるゼプス位は…。



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