七狐幻想奇譚
真琴は何をとは聞かずに、ゆったりした椅子から立ち上がる。



「せっかくだから何か淹れよう。夏野くんは何がいい?珈琲でも、紅茶でも、なんでもあるよ。今日のごはんどうしようね?私、料理作れないんだよねぇ」

「俺がやりますよ。料理もできるんで、任せてください。好き嫌いだけ教えてもらえれば」

「いやあ助かるよ〜じゃあ、ミルク多め砂糖適度の珈琲頼むね。好き嫌いはまったくないから安心して、苦手はあるけど。どこに何があるかは……大丈夫だよね?」

「はい。前に来た事あるので。今から淹れてきますね俺」



夏野が真琴の書斎を出ていくと、また椅子に座り直す。



「……償う、か。今年の祭りは荒れそうだねぇ無事、終わるといいけど」



それから、読みかけだった分厚い本を再び読み始めた。



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