七狐幻想奇譚
まだ足元はふらふらする。それでも歩けないわけじゃないから、きっとこれはまだマシな方なのだろう。



明日から始まる祭りの事を思うと、自然と足取りが重くなる。まるで足が鉛のようだ。



丁度そんな時だった、スマホの着信音が鳴ったのは。桃花は一瞬びくりとしたが、慌てて確認する。




マナーモードに設定したつもりだったが、どうやらそれは自分の思い込みだったらしい。



相手の名前を見て思わず指が止まる。



「どうして?なんで?うそでしょ……」



滅多に鳴らないスマホ。



一応心配で持たされただけのお飾りだった、はず。だから……。



まだ回らない頭でぐるぐると考える。



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