七狐幻想奇譚



「みーつけた」



暗闇の中から、場違いな妙に明るい声がした。



楽しそうな少年の声が。



それが逆に怖くて怖くて仕方がない、今すぐ引き返したい衝動にかられるのに、体はまったく動いてくれない。



声も出ない。



幻想の森の謂われが、頭から離れない。



足音なんてしないのに、感覚的にこっちにゆっくりと近づいてくるのが、嫌でもわかってしまう。






手が、






手が、






手が……!!!






< 35 / 38 >

この作品をシェア

pagetop