ブルービースト
(こんな上司に振り回されて…、私馬鹿みたい)


そう思うものの、まだ耳まで赤いのは隠せやしない。


ユノは気を取り直して咳払いし、ポチと戯れるブロードを睨んだ。



「じゃれてないで早く帰りますよ。大量の仕事が待ってるんですから」


「!!!!」


「何ですかその顔は」



かなり嫌そうな表情にこちらも苦い表情。


せっかくやる気になったと思ったら、もうそれも失せてしまったのか。



「あのさ…ご飯食べてから」


「大丈夫です、執務室に持ってってあげます」


「…………………。」



余計なことを、みたいな目をする上司にもユノは知らんぷり。


アンタが悪いとばかりに睨みを強めれば、ブロードは諦めたようで溜め息をついた。


つきたいのはこっちだ。



「しょーがないなぁ。俺の本気を見せてあげよう」


「最初からそうしてください」



軽く言い合いしながら帰路を進む。



その日ブロードは結局帰ってから脱走し、捕まってからは鬼の補佐にこってりしぼられたとか。








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