ブルービースト
「ご、ごめんなさいっ」
ユノは直ぐ様ぶつかった人に謝罪を述べる。
冷めた性格の彼女だが、こういうところはちゃんと謝るのだ。
誰とぶつかったのか確かめようと、ユノは顔を上げた。
その瞬間に、相手から手が伸びてサングラスを取られる。
「……あ」
自分のサングラスと腕を片手にニコニコする人物を見上げ、ユノは小さく声を漏らした。
相手はニコニコしているものの、目が笑っていない。
「……楽しそうだね、ユノ?」
彼はそう言うとガラスのような蒼い瞳をすっと細めた。
至近距離にいる彼はユノが尾行していた人物。
近すぎてか、その美貌に思わず頬が熱くなる。
「俺をつけて何しようとしてたのかな?」
「あ…いえ…、別にブロードさんをつけてたんじゃなくて……」
「あぁ、俺の思い過ごしかぁ。よかったよかった。
何か悪いことしたっけとか思ったよ」
「…………………。」
「せっかくだから部屋まで送ってあげよう。すぐそこだしね」
「いえっ、すぐそこなんで大丈夫ですっ」
「あ、そう?じゃあいっか。
ほら、行っておいで」
「はい…………」