ラスト プリンス

 ここで耕太のキスを受け入れることが出来ればどんなに嬉しいことか。

 それでも、受け入れられないにはちゃんとした理由があるの。………ちゃんとした理由、が………。

「―――おい」

 頭の上からとてつもないくらいの低く、恐ろしい声が降ってきた。

「あのね……あたし、耕太が――」

「嫌い、か?」

「違うっ。そうじゃなくてっ」

 いきおいよく顔を上げれば、ことさら不安を溶け込ましたような、普段絶対しない瞳をあたしに向けていた。

「じゃあ、なに?」

 でも、思ってたより声が冷たくて。再び俯いてしまった。

 あたしのこと、ちゃんと言ったほうが良いに決まってる。全部話して……でも、ダメだったら?

 そんな女嫌い、って言われたら?

 …………あきらめられるかなあ。

「あたし、耕太が好き」

「知ってる。だから、俺も、す――」

「待って」

 今じゃなきゃダメ。

 知ってもらいたい反面……いいや、8割くらいで知られたくないが勝ってる気がする。

 それでも――

「どっちがホンモノかって、聞いたよね?」

 ――言わなくちゃならないの。

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