Fear in there
第一章 それは突然

纏まらない考え

いきなり両手を掴まれて、頭の上でしっかりと男の左手に握られる。

「え、いきなり、な……」

叫びをあげる間もなく、京子の口に何かが詰め込まれた。

「うるせえな、静かにしろよ」

気持ちの悪いニヤけかたをしながら、男が舌なめずりをする。

見開いた目と長い舌が、京子の嫌いな蛇に似ていて瞳が恐怖に潤みだす。

何で? 何で? 何で?
ただ遊びに来ただけなのに……。
考えても纏まらない思考。疑問譜ばかりが、京子の頭を支配する。

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