【続】俺様王子と秘密の時間


美結ちゃんは、とんでもないことをしてしまった……というような顔をしていた。


美結ちゃんが出て行った直後に、昼休み終了を知らせるチャイムが保健室の中に鳴り響いた。



どうしよう……。

千秋は髪の先までびしょ濡れだ。

こんな姿で授業は受けられない。



混乱して動揺するあたしにまた、ポタリと千秋の睫毛から零れ落ちた水滴に、目を瞑ってしまった。


だけどすぐに目を開けると。




「良かった」


え……?


切なげな表情で千秋は囁いた。

かすれた声に胸が震える。


そして千秋はあたしの頬っぺたに落ちた水滴を親指でスーと拭いながら、口元で少しだけ笑う。



不謹慎だけど……そんな優しい顔されたら、バカで単純なあたしは舞い上がっちゃうよ……。

 

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