【続】俺様王子と秘密の時間
二人の足音が遠ざかっていった。
危なかった……。
あたしは鞄とローファーを抱える腕の力を抜いて、ホッと一安心。
だけどそれもつかの間だった。
「ゴホッ……ゴホンッ!」
トイレとリビングの距離は少し離れているんだけど、ユリさんの咳払いが聞こえてきた。
もしかしてコレがユリさんの言っていた合図?
でも違ったらそこで作戦失敗ってことになっちゃうし……。
一人で考えていると、またわざとらしい咳払いが何回も聞こえた。
間違いなく、合図だ……。
よ、よ、よしっ!
あたしは音をたてないようにそーっとトイレを出ると、忍者の如く廊下の壁に背をつけて移動した。
鞄とローファーを抱えて。
バクバクうるさい鼓動を感じながら、まるでカニみたいに歩いた。
……我ながら変な格好。
リビングのドアの前まで来ると、二人の会話が聞こえてきた。