【続】俺様王子と秘密の時間
「また会えて嬉しいよ」
黒澤拓海は軽薄な笑みを浮かべ、長い黒髪をかきあげた。
「あたしは会いたくなかった!」
「冷てぇこと言うなよ」
スカートの裾を握りしめて言うあたしの顔を見上げる黒澤拓海。
冷たいとかの問題じゃなくてほんとのことだもん。
謎だらけだし嫌味なことばかり言うし。
「オレはまた会いたいって思ってたよ?だから今朝、職員室で名簿見てシイの名前があって嬉しかった。早く会いてぇって思ったんだよ」
だから今朝、教室内を見渡してあたしの名前を呼んだわけ……?
タバコをコンクリートに押しつけて火を消す黒澤拓海の表情が、長い髪の毛で隠れる。
煙が宙を舞って空に消えていく。
「まあ、お前にまた会えるって確信はあったけどな」
「確信……?」
黒澤拓海はスッと立ち上がると、あたしの真ん前まで来て目線を合わせるようにかがんできた。