【続】俺様王子と秘密の時間


「そんなことよりなんで転校してきたの?あなたは19歳でしょ?あたしより年上なのに変……」


言いながら黒澤拓海に目をやるあたしはそこで口を結んでしまう。


黒澤拓海の瞳に怒りがこめられているように見えたから。

さっきまでヘラヘラしていたのに今は全然笑ってなんかいなくて、それがとても怖いと思った……。


肌の表面がざわざわと震える。


意思のこめられたその瞳は“何も聞くな”という強い拒絶だった。


耐えきれずに俯いた瞬間……



「ぷっ。なに縮こまってんだよ?さっきの威勢はどこいった?」


ククッ……と笑ってあたしの頬をペタペタと叩いてくる。

だけどあたしは今の黒澤拓海の瞳が焼きついて、しばらくはさっきみたいに振る舞えなかった。




「なぁ、こないだ店に来てお前を連れ去ったアイツって、この学校の王子だったんだなー?」

 

< 351 / 658 >

この作品をシェア

pagetop