【続】俺様王子と秘密の時間
「そんなことよりなんで転校してきたの?あなたは19歳でしょ?あたしより年上なのに変……」
言いながら黒澤拓海に目をやるあたしはそこで口を結んでしまう。
黒澤拓海の瞳に怒りがこめられているように見えたから。
さっきまでヘラヘラしていたのに今は全然笑ってなんかいなくて、それがとても怖いと思った……。
肌の表面がざわざわと震える。
意思のこめられたその瞳は“何も聞くな”という強い拒絶だった。
耐えきれずに俯いた瞬間……
「ぷっ。なに縮こまってんだよ?さっきの威勢はどこいった?」
ククッ……と笑ってあたしの頬をペタペタと叩いてくる。
だけどあたしは今の黒澤拓海の瞳が焼きついて、しばらくはさっきみたいに振る舞えなかった。
「なぁ、こないだ店に来てお前を連れ去ったアイツって、この学校の王子だったんだなー?」