【続】俺様王子と秘密の時間
「お前の頭は都合の悪いことは忘れる仕組みにでもなってんの?」
なんのことかわからないだけなのに、そんな馬鹿にするような顔つきで言わないでよねぇえええ!
……って思ってもわからないあたしは小首を傾げる。
「“夜中、オレの部屋においで”って言ったろ?」
「あ……!」
すっかり忘れてた。
そういえばプールでそんなことを言われたような。
「ふーん」
「な…なによっ」
「お前、忘れてたんだな?」
ギクッ……。
忘れてたなんて素直に言えない。
千秋はお布団に手をついて徐々にこっちへと身体を近づけてくる。
「で、でも!夜中なんて、佐久間くんと同じ部屋なんだから、あたしが来れるわけないでしょ……」
千秋が近づいてくるから必死に口を動かした。