【続】俺様王子と秘密の時間
――ガタッ!
羽鳥の眼差しから逃げるように目を逸らそうとした直後だった。
羽鳥があたしを抱きしめたのは。
視界が揺れてハッとした時には、あたしは羽鳥の腕の中に居た。
「はと…り……?」
小さく声をあげたあたしをギュッと力をこめて抱きしめる。
痛いくらいの抱擁は、あたしの鼓動を加速させるには充分だった。
「シイ……」
掠れた声はあたしの鼓膜を揺るがす。
羽鳥がどんな顔をしてるかわからないけど、抱きしめる腕はよりいっそう力を増していった……。
そして次に羽鳥の口から出た言葉は、あたしを大きく揺さぶった。
「やっぱヤツには渡したくねぇ」
羽鳥の意思を表す低い声が教室の中で響いた……。