【続】俺様王子と秘密の時間


「頼むからハッキリしろよ……」

「……っ」


絞り出すような掠れ気味な声で千秋は言った。

あたしが揺れているなんてこと、きっとわかっていたんだ……。



どうして一人の人だけを想い続けるという純粋なことが、こんなにも難しいんだろう。


一番シンプルなことがどうして出来ないの……。

千秋はあたしの身体を引き寄せ、切なさに染まる表情を隠す……。



いつも自信たっぷりで絶対に取り乱すこともしない冷静沈着な氷のプリンス。

千秋にこんな顔をさせたかったんじゃない……。

二人を傷つけたかったんじゃないのに。




迷いこんだ恋の迷宮を抜け出す時は、彼を失う時だということにあたしは気づいていなかった。


――“彼”がどれだけ大切かを。


あたしは思い知ることになる。

 

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