【続】俺様王子と秘密の時間
ジリジリと距離を詰めてくる美結ちゃんの声が廊下に響きわたる。
「……」
妙な威圧感のせいであたしは何も言い返せずに口を結んでしまう。
それだけじゃない。
確かにあたしは彼女じゃないけど、それは自分が一番よくわかっていることで、悩んでるんだ……。
だから美結ちゃんに指摘されて、あたしの胸がキリキリと痛んだ。
「アンタさ、鏡見たことあんの?美結の足元にも及ばない凡人が、調子に乗んないでよねぇ?」
バカにするような口調。
ふわふわしていた美結ちゃんはもういなくて、黒いオーラみたいなものが後ろに見えるようだった。
「それにこないだ、新館の視聴覚室で何してたわけ?」
「えっ……?」
「凡人!鈍感!アンタって、顔だけじゃなくて頭も悪いんだね!」
美結ちゃんは眉をグッと寄せる。
「あの日、アンタを見かけたの!だから美結、後つけたんだよ!」