【続】俺様王子と秘密の時間
あの時、感じた視線。
余計に聞こえた足音。
あれは、美結ちゃんだったんだ。
「視聴覚室に千秋先輩と居たんでしょう?」
ドキン……。
静かな怒りがこもった声。
「な……なんで……」
目の前に立つ美結ちゃんがあたしの顔に自分の顔を近づけてくる。
美結ちゃんはあたしの顔を覗きこむと、不気味な口調で言った。
「だって美結、見てたんだもん。千秋先輩がアンタを引っ張って、視聴覚室に連れこむところを」
唇を広げて怪しく笑う。
心臓が跳ねて、あたしは全身から血の気が引いていくのを感じた。
「美結の方が……アンタなんかよりもずっとずっと千秋先輩を知ってるんだからねっ!」
物凄い剣幕であたしに言い放つ。
あたしは手を握りこんで目線を足元に落とした。