君だけのサンタクロース



「こないだは邪魔して悪かったなぁ!」


八百屋のおじちゃんはガハハと大きく笑いながら、あたし達が買ったものを次々と袋に入れてゆく。


「やから、コレ!大根一本オマケしたる!」


陽気な街だと、思った。

東京にはないぬくもりが此処にはあって、冬の寒さには負けない、そんな笑顔と、あたたかさ。



「おっちゃんにも、若い頃があってな」
「あんた!なに油うってん!それにリキ君ほど男前やないやろ!」
「かぁちゃんこそ心春ちゃんみたいにべっぴんやないけどな!」



なんて、八百屋夫婦のやりとりが始まって、リキとあたしまた顔を見合わせて笑った。



「おおきに!」




八百屋のおっちゃんに手を振って家路に向かう。




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