secret WISH
俺さ、お前の笑顔に弱いわホント。
だって凝視出来ないんだから。
「‥じゃあ、私を地下に連れて行って?」
「そうしたいのは山々なんだがよ、さっきの奴らが‥」
お前の牢屋のところに来ていたらどうするんだ。
と言おうとした俺の言葉は、チャロの言葉で消えた。
「大丈夫よ、ねぇ、オニキス」
オニキスを撫でながら、チャロは立ち上がった。
「‥お前、何した?」
今一瞬見せた笑み。
まるで悪魔の様な、黒い微笑み。
「綺麗にしたんですよ」
「‥っ、殺したのか!?」
「『殺した』‥?それは違うよ、綺麗に片づけたの」
「前にもそんな事言って、詳しく話さなかった時あったよな‥」
『‥教会に行ったんだ。そしたら、何も無かった』
『でしょうね』
『なぁ、何でだ?昨日の事は現実だよな?教会全面が血で塗られていたのも。あの、死体の山も』
『ええ、全て現実ですよ』
『じゃあ何で‥ッ』
『綺麗にしたんです。教会の血も、あの残骸も、綺麗に片付けました。これが、教会に何も無かった理由です』
「なぁ、『綺麗に片づけた』ってどういう意味だ?」
「‥‥」
「話せないって事は、‥それが俺に対する“隠し事”?」
何も言わないチャロは、言えないというように俯いた。
‥焦ったら、ダメだよな。
もしかしたら言うタイミング図っているのかもしれねぇし。
「まぁ、さっきの奴等はもういないんだな?」
「‥うん」
「なら地下行くぞ」
俺はチャロの手をとって、部屋を出た。
パタンと閉まる扉の向こうでは、オニキスが手を振っていた。
つい最近までは、あんな元気なかったのに。
あの行動は、チャロが近くにいるという安心感からか。
「なぁ、チャロ」
「‥はい」
「俺、別に怒ったりはしてねぇよ?だってお前に手ぇ出そうとした奴等だし」
正直言うと‥さっき、死んで欲しいと思ったから。