secret WISH


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「どうした?セレス、なんか疲れた顔してんじゃん」

「‥あ、そーぉ?」

「うん、そーぉ」

パラパラと任務先の資料をめくりながら、一つ溜め息。
オニキスと朝から暴れた~、だなんて言えねぇもんな。

「てかお前、最近部屋騒がしいって皆言ってるけど何してん?」

「あ~、トレーニング」

「‥トレーニング?」

「そ、トレーニング」


はてなマークを浮かべているコイツは、俺の友達。

名前は、モルダ・バイト。

爺さんに拾われたばかりの頃
いつも一人だった俺に初めて声を掛けてくれた奴だ。
兄貴は当時、隣町に住んでいたから
実は一番の友達ではないんだよな。

今日は明日に入った任務の打ち合わせだ。

「ちょっと遠いな‥、帰るのは明後日になりそうやな」

「‥ああ」

俺の目は、資料のある部分でさっきから止まっている。
“街の住民、全員死亡”
そう書かれているけど、明日行ったら絶対に‥―――

「人、居るんだろな」

「そうだろうなぁ、俺がこの前行った町も人居ったもん」

コトンと机の上に置かれたコーヒー。
飲みながら答えるモルダは
資料をぱたんと閉じて、それを全部飲み乾した。

「ま、こんなん気にしてもしょうがないっしょ。明日街の様子見て、さっさと片付けて帰ろうぜ」
んじゃ、俺は約束あるから。

そう言ってカップを片付けると、
モルダは資料を片手に食堂から出ていった。
気にしてもしょうがないって言うけど、気になるんだよ。

俺があの時見た死体も血も、
ほんの半日程度で綺麗に無くなった。
余程の大人数で片付けないと、
あれだけの時間で綺麗になる筈ない。

『綺麗にしたんです』

一度アメスに訊いた時、そう言っていたけど
俺はその答えに納得していない。
だからって、もう一回訊くのは‥、

なんか出来ないけど。



俺は何か、大切な事を見落としている。
そんな気がしてならなかった。




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