♭―フラット
声は答えた。

≪あら。私?はははっ私はね、モルトっていうの≫

「モルト?」

≪ええそうよ。モルト・ベイリス。女の子よ≫

そう声は、いや彼女は、いいや、
モルトは言った。
そしてモルトは続ける。

≪今、暇かしら?いえ。暇よね?暇なはずだわ≫

「暇では無い。と言ったら?」

レポートの期限はまだ大分先だ。
しかもテーマがあれじゃあ・・・な。仕方ないだろう。
だから今は、暇なのだが。
ちょっとモルトの言い方が癪に障ったから言い返してみた。

≪それは……≫

次に続くモルトの言葉に俺は少々……いや大分度肝を抜かれた。
だって彼女が、

≪嘘ね。眞教授のレポートなんてやろうがやらまいが貴方にとっては同じことでしょう?≫

なんて言うもんだから。

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