気付けば溺愛
私を見下ろして淡々と言う拓真の指の力の弱さと、瞳の奥にある不安気な揺れを感じなければ、強気な言葉に反発しか感じなかったと思う。

けれど…。

一番近くの『友達以上』っていう位置にいた2年間で、こんなに自信のない姿は初めてで…。

そっと拓真の腕に手をかけると。

瞬間びくっとした拓真をじっと見つめる。

「側にいるだけでわかる訳ないし」

「…は?」

「側で友達してるだけじゃわかんないし」

…今までの弱い自分に蓋をして、更に続ける。私をただ見ている拓真の手が私の頬をそっと撫でる。

「それに。…それに今だってはっきり何も言ってくれてないし」
< 35 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop