気付けば溺愛
私が一気に吐き出した言葉に何の反応もない表情のままで、拓真の手が私の頬をいきなりつねる。

「っ…!?」

思ってもみなかった行動にびっくりして声が出ない。

「とりあえず、二次会行かないと、な」

「…」

「それに、結構俺ら周りから見られてるし」

「え?」

いつものいたずらめいた軽い笑いを私に向ける拓真の言葉に、慌てて周りを見回すと。

お見合いをしたティールームの入口は、私達に出入りを邪魔されて様子をうかがっている人達が興味津々で立っていた。

「うゎ…」

恥ずかしくて、思わず拓真の腕をぎゅっと握ると、

「二次会いくぞ」

私の肩を抱き、さっさとエレベーターに乗り込んだ。

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