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言術の目を使っても、本当の目のようにはっきり見える訳ではない。人と犬。それくらいの区別はつくけれど、細かい所まではわからない。だから、老人は助けたのはもっと大人だと思っていた。しかし、実際には自分の孫と言ってもおかしくないような子供達だ。さっき聞いた事情を考えても、とても信じられるものではなかった。
「ところで、イバーエ君と言ったか。君が本当に言術を使ったのかい?」
エーマリリスさんは神妙な面持ちだ。僕は何となく怖かった。怒られるような、そんな感じがしたからだ。
「は、はい・・・。」
じいちゃんが使ってはいけないと言っていた事は、言わないでおいた。
「そうか。でも、まだ完全に使いこなせていない、違うかい?」
「は、はい。ごめんなさい。」
「もし、謝るなら、そこにいる友達に謝るんだ。いいかい?きちんと使いこなせない言術は、人に迷惑をかけてしまう事になるんだよ。さっきのようにね。だから、もう、言術を使っちゃダメだ。いいね。」
僕は困った。レイフルの街から、僕たちの村まで言術なしでどうやって帰ればいいのだろう。僕も、リーグも、鉄道の切符を買うお金なんて持っていない。
「・・・。」
「どうした?約束出来ないのかい?」
「・・・約束は・・・したいです。でも、言術が使えなかったら・・・僕も、リーグも村に帰る事が出来ない。そしたら、リーグの父も心配するだろうし・・・。鉄道で帰るお金もないし。」
「なるほど、そう言う事か。」
エーマリリスさんは、納得してくれた。けど、言術を使う事は許してくれない。
「じゃ、私の家に来るがいい。そこで手伝いをしてくれ。そこで一週間も働けば、村に帰るくらいの切符代ぐらい出してあげよう。」
「ほ、本当ですか?」
僕たちは身を乗り出した。
「本当だ。おまけで、時間がある時にでも言術を指導してあげよう。もっとも、bic系とlot系の違いはあるがね。根本となるところは同じだ。知っておいても損はないだろう。」
「ありがとうございます。」
僕は深々と頭を下げた。リーグは、それを見ているだけだった。
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